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どこまでがスパイかな? ~スパイの定義~

どこまでがスパイかな? ~スパイの定義~

どこまでがスパイかな?
インターポールに身を置いた者として6つのカテゴリでご説明いたします。

①すぐに思いつくスパイは、007やミッションインポッシブルに出てくるような
諜報員・工作員が日本国内に侵入・潜伏し、日本の重要情報・機密情報を自身又はチームで盗む場合です。

②でも実際は、①のスパイが日本国内で密かに獲得した協力者や団体
(これらの協力者や団体は対日有害・違法活動を理解して協力している場合もあれば、理解なきまま協力させられている場合もあります。)が、
日本の重要情報・機密情報を彼らの代わりに盗む場合があります。

③上記の①と②は、日本国内に侵入・潜伏・浸透しているという意味で、いわばアナログな対日有害・違法活動ですが、
近時は、海外からサイバー空間を通じて情報を窃取する、いわばデジタルな対日有害・違法活動が主流になりつつある。

また、上記のように重要情報や機密情報を盗む活動とは別に、日本国にいる外国人や外国勢力関係者(スリーパー)が、
④ウルフパックに加担したり
⑤インフルエンスオペレーションに加担したり
する場合があります。

※「ウルフパック」とは、指令に基づいて複数の人間が特定企業の株を購入し、
当該企業の経営権を獲得する手法。実施に日本の先端技術や暗号資産に関わる企業がターゲットにされています。
情報を盗み出すのが困難なのであれば、企業を乗っ取ってしまえということです。
「インフルエンスオペレーション」とは、例えば、原発事故の処理水についてネガティブキャンペーンを貼流に当たって、
SNS上で複数の人間(インフルエンサー)が意図的に「汚染水」という呼称や水が汚染されている趣旨の画像をポストしたり、
リポストしたりを繰り返し、汚染水という呼称を定着させました。

さらに、
⑥SNSを通じた外国勢力による選挙介入・干渉も近時顕在化しています。

①から⑥は、いずれも外国勢力による対日有害・違法活動ですが、
それぞれに活動内容が異なることから、それぞれに有効な対策を考える必要があります。

私は、インターポール勤務やサイバー捜査課長勤務を通じて、
①から⑥まで具体的な人・事件に接してきました。
いずれも、今そこにある危機です。

国家安全保障上の課題としてスパイ防止を考える上で、
実態に即した有効な対策を検討する必要がある訳ですが、
微力ですし、また警察を退官していますが、いつでも協力したいと考えています。

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